【ご報告】2017年12月19日(火)「2017年 採用・教育振り返り座談会」(前半)

皆様、こんにちは。
先日、12月19日「2017年 採用・教育振り返り座談会」が無事終了いたしました。
今回はこれまでに勉強会にご参加いただいた方を中心に10名限定で開催しました。
18時30分からと遅い時間からの開催にも関わらずお越しいただいた皆様、
本当にありがとうございました。
そんな先日の座談会の模様をお伝えさせていただきます。 尚、今回の座談会はパネルディスカッションのようになっており、 一気に全部を載せると膨大な量となってしまいますので、 2回の分けて書かせていただきます。
今回は弊社代表の柘植が司会となり、3名のパネリストをお招きして 参加者の皆様からのご質問やパネリストの方たちの感じたことなど、 ざっくばらんにお酒や軽食もつまみながら、 2017年度の採用・教育を振り返っていきました。
まずは、パネリスト3名を簡単にご紹介させていただきます。
◆株式会社ガネット 取締役 田中 海平 氏(http://www.gannet.co.jp/) 新卒で採用コンサルティング会社に入社後、25歳の時にガネットを創業。 大阪、名古屋にも事業所をおき、採用コンサルティングとアウトソーシングの 2軸で採用支援をしている採用のプロ。
◆株式会社マナベル 代表取締役 吉川 孝之 氏(http://www.manabel.net) 元、じんざい社の役員で教育の仕事を始めて15年ほどになります。 金融機関系のセミナー会社に登壇している講師の中では下から 数えた方が早いぐらいの若手となります。 元々は大学専門の広告代理店から始まり、広報やキャリアセンターを通じて 現在の大学生の実情を目の当たりしている講師である。
◆株式会社ベイクルーズ 人財統括 事業部人事DIV. 執行役員(https://baycrews.jp/) 前職から人事一筋で採用や教育に携わり、採用コンサル会社や媒体、研修会社など 実際に取引をしていて、そういった企業をどのように見ていけばいいのか 選ぶ側の視点でお話ししていただきます。 2018年度4月入社の新卒で150名入社予定である。
◆2017年は例年にない採用バブルだった(じんざい社 柘植)
柘植:有効求人倍率が跳ねあがっていますが、営業感覚としてどうでしたか?
田中:採用で困っている会社が多くなってきた。 特に母集団形成で困っている会社が多かった印象です。 後はお尻の部分、つまり内定承諾でも困っている会社が多かったです。 内定を出したが逃げられてしまう会社も多いという印象です。
柘植:それは景気が良いからなんでしょうか?
田中:景気が良いというわけではないと思います。 ただ、採用をする会社が多くなったという印象はあります。
柘植:採用をする会社が多いというのは、単純に中途が採れないから それなら比較的計算のしやすい新卒採用に切り替えているということなのでしょうか?
田中:中途が採れないからというのも1つの理由になっています。 その他にも中途を採ってもすぐに辞めてしまうということも理由として挙げられます。 それなら何も染まっていない新卒の方がいいという会社が増えてきています。
柘植:ちなみに吉田さんの会社では中途はどれぐらい採用しているんですか?
吉田:年間で250名ぐらいです。
柘植:250名は満足しているんですか?
実際はもっと採りたいが、中途が採れないという事実から新卒を採らざるを得ないという
感じですかね?
吉田:まあ、そんな感じですかね
柘植:田中さん、中小企業でも新卒採用の意欲が高いと聞きますが?
田中:そうですね
柘植:吉田さんが言うように、大手企業でも厳しくなってきていますか?
田中:一時に比べると厳しくなっていますが、それでもまだ大手はマシなほうですね。 特に最近の学生は福利厚生なんかをバンバン聞いてきますね。
柘植:例えば?
田中:残業代はキッチリ支払われるのか?支払われるのは当然なんですが、 みなし残業が基本給にどれぐらい含まれているのか? あとは産休育休の取得率などですね
柘植:どれぐらいだといいんですか?
田中:75%ぐらいは欲しいですね
柘植:吉田さんの会社ではどれぐらいなんですか?
吉田:いま、70%ぐらいですね ただ、実態はその仕組みを作る方が大変ですね。 産休育休を取らせるために他の社員が遅番ばかりになったりするので
◆インターンシップにも学生が集まらなくなった(ガネット 田中)
柘植:そうなんですね。政府もアベノミクスで2年後か3年後に保育園・幼稚園を 無料にする方針を出したので、これからは共働きを前提にした社会になっているので その辺りを踏まえた社内体制を作ることが求められますね
その他に採用のことで聞きたいのが、営業などでお客様を回っていて 来年度はどんな方向になっているんですか? 例えば景況感が追いついてきて予算を増やしているのか? 採れないから予算を増やそうとしているのか?
田中:予算は増えている傾向が多くなっています。 ただ、予算の配分が変わっています。 これまでは3月に本採用スタートでしたが、それをインターンシップに回すように
なっています。 そのインターンシップも人が集まらなくなっています。 以前は皆さんご存知だったようにインターンシップのサイトは無料でした。 それでも集まっていたが、それがお金を取るようになってそれでも集まらなくなって
きたのでそこにオプションなどを追加して集めるようになってきています。 それでも人が集まらないというのが現状です。 これまでは10の予算を3月以降に予算投下していたのが、5:5や3:7といった割合に
変わっています。
柘植:企業から見るとトータル予算は変わらないですが、
使い方が変わっているということですね。
田中:全体予算も上がっていて、その振り分けも変わってきているという感じですね。 それでもインターンシップは集まらないが、大手は集まっています
柘植:田中さんが言う大手というのはどのような企業ですか?
田中:知名度があって人気の業界ですね そういった企業でしたらインターンシップに参加するために面接をしています
柘植:田中さんのお客様では何か工夫したことはありますか?
田中:実際に工夫したのは12月から面接をスタートさせたことですね 夏のインターンシップを受けた学生を12月から優先的に面接させています ただ、工夫が必要で学生もその時期の面接は初めてなので警戒してこないことが
あります。なぜ、来ないのか聞いてみると、まだ気持ちが決まっていないのに
面接に行ってもいいのか?ということを言われますね。 それでも構わないから来ればという形で呼ぶので面接っていう形ではないかもしれない
ですね そこに2年目を同席させてリクルーターのようにしてつながりを作っていくということを しています。
柘植:そういう学生をどのタイミングで内定出すのですか?
田中:内定は3月1日以降にしか出せないので、そこまではじわじわ繋げるという状態ですね
柘植:ということは他の企業が動き出した時には既に内定を出しているという状況なんですね
では、採用のことでもう少し。内定辞退はどのぐらいの時期に出やすいんですか?
田中:長期休暇後が多いですね。ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始という時期です 実家に帰ったり、友達や親と話したときに内定の話が出たりするとやっぱり考えたい
という学生が出てきますね。そういう時に事前に懇親会などのクサビを打つ会社が
増えていますね
柘植:これからだとお正月を超えて親が辞めろとか言うんですか?
田中:親に限らず地元で同窓会などをしたときに、どういうところに内定をもらっているのか
などの話になった時に反対されやすい業界や他の人がこんな企業に内定をもらったという
話を聞くとブランディングじゃないですけど、もう少し他があるんじゃないかという
隙が生まれるんですね
柘植:学生は純粋にそこから他の会社を探そうとするのか? 元々、他にも内定をもらっていたのではないか? 実際にはどっちが多いんですか?
田中:就職先の話が上がったときに跳ね返せない学生が多いので、私のお客様には選考時から 親御さんから話が上がったときにどう返せばいいか?
ということを入れてもらっています。 面接の中で実際に面接官が親御さん役をして実際にどう答えるかを見るということも
しています。これをすることで面接の名目上は自社を理解しているかを見るということに
なっていますが、親御さん対策にもなっているんですね 他にその会社のプレスリリースなども都度渡すようにしていますね。 柘植:こういった対策は無名企業がやったり、一般的に知られていない大手企業などが
することですね 吉田さんの会社ではその辺りどのように工夫されていますか?
吉田:会社名と店舗名のギャップがあるので、内定を出した後に親御さんへの手紙を
出していますね 会社の紹介などと併せて、どういったところを見て内定を出したのか?ということも 書いたものを渡しています
柘植:それはメールですか?郵送ですか?
吉田:郵送ですね。
本人が受け取ってもそれを親に説明するツールにしてもらえるようにしています
柘植:その手紙と一緒にパンフレットなどを送っているんですか?
吉田:そうですね。ただ、これまでのパンフレットではなく親御さんように一目で分かるように 会社の情報をグラフなどで見える化して親用に作りなおしています 学生には福利厚生などを重視したもの、親用には会社規模などが分かるようにしています これは効果的ですね
柘植:ちなみに田中さん、10人内定を出すと平均で何人ぐらい承諾されますか?
田中:50%は切っていると思います 大手でも68~70%ぐらいですね なので、企業によっては内定辞退防止に力を注がず、内定を乱発することに 力を注いでいる企業もありますね
柘植:それも1つの戦略ですね
では、採用に関して最後に各企業選考基準ってどうなんですか? ぶっちゃけ下げているのか?
田中:下げている会社が多くなっている印象はありますね ただ、前半はハードルを高くして、秋以降などにハードルを下げるという会社が
多いですね
柘植:逆の方が良いじゃないですか?
田中:その通りなんですけど、やっぱり最初はより良い学生をと思ってハードルを 上げてしまうんですよね だから、来年はこの基準を覚えておいてくださいねと言っても、 人事担当者は分かっていても、現場の面接担当が分かっていないことが多いですね
柘植:基準値を下げているというのは学歴を下げているのか?学力を下げているのか? それとも面接で見るところを下げているのか?
田中:面接で見るところを下げている会社が多いですね 月並みですけど、コミュニケーションなどです。ちょっと厳しいよねという子でも、
一旦次に上げてみて次の面接官に判断してもらおうか? という形が増えてきていますね 合否の連絡のタイミングで合格だけど、次の時にもう少しコミュニケーションのところを 気をつけてや初めの挨拶だけはしっかりするよう伝えてほしいということを言われますね
◆大学の教育は既に崩壊している(マナベル 吉川)
柘植:そんな学生が多いということですが、大学は何を教えているんですか?
吉川:ぶっちゃけて言うと大学は終わっていますね キャリアセンターなども売り手市場ということを分かっているのでインターンシップに
行くと単位を上げるといって行かせているんですね インターンシップに行った学生に話を聞くと、学ぶことがなかったですねという答えが 返ってきたり、目指すような人がいなかったという答えが返ってくるんですね 内定辞退をした学生に理由を聞いてみると、その方が会社のことを好きそうじゃなかった
ということを言ってきたりするですね
柘植:大学のキャリアセンターは教育をしてるんですか?
吉川:教育はしてますが、スタート時点が既にやばい子が多いですね 面接対策などをしてもずっと笑っているだけとか
柘植:ちなみにどこの大学ですか?
吉川:N大学です
一同:驚き(笑)
柘植:学生はそういった就職セミナーを受けて面接に行くんですか? 受けずに面接に行っているんですか?
吉川:いまは就職セミナーに集まらなくなっていますね 1回当たり昔は5,60名集まっていたのが、いまは20名ぐらいになっていますね 先生方に集まらないのはなぜなのか?と聞くと今はしなくても内定がもらえてしまうから
と言ってましたね
柘植:先生方はよくあんな学生を採るなって言ってません?
吉川:言ってますね。本来はそういう学生ほどセミナーに参加すべきなんですけどね
柘植:ちなみにそういった学生で何社ぐらい内定をもらっているんですか?
吉川:多い子で5社ぐらいですね
柘植:どういった企業が多いんですか?
吉川:その時は損保会社などの金融系が多かったですね
柘植:10年前の学生を10点とするといまの学生は何点ぐらいですか?
吉川:2.5点ぐらいですかね
柘植:それぐらいで内定が出てしまっているんですね
それじゃ大学は崩壊しているんですね
吉川:そうなんですよ。実際にいまの大学って学生が先生を評価しているんですよね 私の知り合いで国際学部で有名な先生がいたんですが、急に辞めることになったと 連絡があったんですよ 何があったか聞いたら、学生から人気がないっていう理由らしいんですね どういうことか聞くと難しいテストを出すと単位が取れなくなっちゃうんで ノートやパソコンの持ち込みなどをOKにしている先生もいるんですよね でも、その先生はそういうことは許さなかったらテストが難しくて単位が取れないって
ことで学生からの評価が低くてクビになっちゃったんですよ 大学の実情はこんな感じなんで崩壊してしまってますよね
◆教育ありきでの採用・配属は必須(ベイクルーズ 吉田)
柘植:なるほど、では最後に吉田さんから見て実際に基準は下がっているんですか?
吉田:最初の説明会からエントリーシート、面接とハードルを下げて、とにかく会うことを
優先して会ったときに気持ちを醸成させていくようにしていますね 結果的に帳尻はあっているかもしれませんが、内定から入社までも大変なんですね 10月に内定式をしていたんですが、11月にずらしているんですよ 先ほどもあったように8月に辞退が増えるのでその間に個別面談を入れて 他と迷っているなら一度見て来たらと言っているんですよ そこで見比べて実際にどっちがいいかを選ばせていますね
柘植:ということはやはり基準値は下がっているんですか?
吉田:なるべく下げない努力をした結果の選考フローと言えますね
柘植:その中でここだけは譲れないというポイントはありますか? 例えば販売・サービス系だからオシャレじゃないとダメとか?
吉田:それも選んでないですね。ホスピタリティだけです
柘植:あとは入社後に教育をするということですか?
吉田:はい。もうそれが前提ですね
柘植:教育せずに配属はあり得ない?
吉田:あり得ないですね。教育せずに現場にいれるとクレームだらけになります 報連相がない、お昼を誘うと断ってくる など
柘植:いまの子は先輩が誘ってくる理由が分かってないんですよね
吉田:意図までは理解していないんじゃないですかね
柘植:いまの子は先輩からの誘いが圧に感じちゃってるんですかね
吉川:そうだと思いますね。私の感覚ですが、いまの子はすぐに泣いてしまう子が多いですね 失敗経験がないのでちょっとしたことですぐに折れてしまう子が多いです それで病んでしまうっていう感じですね
柘植:昔だったら上手くいかなければ、やり方を変えるなどすればいいってなるんですけど、 いまの子はそこに行かずに病んじゃうんですね
吉川:いまの子は本当にしゃべれない子が多いですね 書いたり打ったりは出来るんですが、面と向かっての会話ができなくなっているですよね だから最近は話していても頷かない子が多いですよね 私の研修でも最近は頷くことを教えるようにしてますね
柘植:それがニーズとしてあるんですか?
吉川:あるんですよね それも頷くことだけ教えると頷くことしかしなくなるんで、そこに笑顔であったり
相槌であったりっていうことも併せて教えて初めて聴く姿勢ができるようになるんですよ
柘植:なるほど
ここまでで約1時間の座談会となっています。
この先もまだ約1時間ほど、参加者からの質問への回答もあるのですが、 かなり長くなってしまいましたので、今回はここまでとさせていただきます。
続きは年明けに改めてご報告させていただきます。
今年1年間、ブログをご覧いただきまして誠にありがとうございました。 来年以降も引き続き勉強会のご報告など書いていきますので、 引き続き、ご愛読いただけますと幸いでございます。
それでは、皆様良いお年を。