【ご報告】2017年12月19日(火)「2017年 採用・教育振り返り座談会」(後半)

皆様、明けましておめでとうございます。
昨年末、掲載しました「2017年 採用・教育振り返り座談会」について 後半部分をご報告させていただきます。
まだ、前半部分をご覧になられていないという方はコチラ。
それでは早速、後半の残り部分を書かせていただきます。 後半は参加者の皆様からのご質問に対して回答していただいております。
◆大学には学生に企業紹介できるツールを持参で訪問(マナベル 吉川)
柘植:採用や学生に関してお話聞かせていただきましたが、 皆さんから採用に関してご質問はございますか?
A社:企業も就職部とつながりを持っておいた方が良いんですか?
吉川:持っておいた方がいいと思います。 なぜなら、皆さんが採用したい学生は大学にいるわけですから
柘植:ただ、今の話だと矛盾しませんか? 就職部には学生は来ないわけですよね?
吉川:就職部が主催するセミナーに来なくなる学生が増えているんですね たしかに就職部に来る学生も減っては来ていますが、 就職部の先生を味方にすることが良いと思います。
いまはペーパレス化で会社案内などなくしている会社が多いと思うのですが、 私はあった方が良いと思っています。 就職部の先生が「こんな会社あるよ」って渡せるようなものがあった方が 先生も学生に紹介しやすくなります。
柘植:ノベルティ的なものですかね? つまり就職部の先生が配れるツールってことですね
吉川:そうです。逆にお菓子などを持って来られても受け取れなくなってるんで、 それよりも学生にとって有益な情報を持ってきてもらいたいというのが 就職部の先生の本音ですね
柘植:大学の先生もジョブローテーションで異動しちゃうんで ノウハウがなく知らない人が多いですよね
吉川:そうなんですよ。就職部の先生も専門家じゃないんであまり情報が ないんですよね
柘植:あとは人事の方が何度か通って人間関係を作れば 自然と紹介してくれるようになりますよね 私も昔、大学を回っていたことがあるんで分かるんですよ 大学って横でつながっているんですよね
ちなみに吉川さんは就職の講師のネットワークを 持っているんですよね?
吉川:就職ガイダンスを行っている講師も非常に多いのですが、 その人たちから聞くのも仕事が減ってきていると聞きますね 売り手市場で就職セミナーに集まらなくなっているんで どんどん数が減ってきているんですね
柘植:いまは新卒研修や若手研修のほうしかいないですもんね
吉川:そうですね。だからいまはそちらにシフトチェンジしているという感じですね
柘植:吉田さんも大学訪問しているんですか?
吉田:かなり行っていますね
吉川:年間どれぐらい行っているんですか?
吉田:30~40大学は回りますね
吉川:1大学あたり何回ぐらい訪問しますか?
吉田:採りたい大学だったら2,3回訪問しますね その時に先ほど言っていたようにツールを置いてきます 最近は大学も学校内のSNSを持っているのでそこに載せれるように データも併せて渡しますね。そうすると拡散されるので
吉川:ある企業では大学のお手伝いということで人事が面接練習を やりますよという企業もありますね そうすると大学は有り難いと喜ぶんですよね
柘植:それをしていたのが大手の媒体企業ですよね 就職セミナーを無料でする代わりに学生に登録してもらうという感じで いまはそれを企業がやっているんですね そこで企業は採用に結び付けていくんですね
吉川:特に理系などはそうですね
◆採用担当1人につき10名ぐらい採るのがベスト(ガネット 田中) 柘植:他に皆さん、ご質問などはありますか?
細野:田中さんにお伺いしたいんですけどいいですか? 大手だとアウトソーシングに依頼することが多いと思うんですが、 中小企業ってどうなんですか?
田中:逆に大手の方が少ないですね 大手だと1年目が仕事があまりないので、 がっちりリクルーターとして関わらせるので人手が足りているんですよ だから中小企業さんからの依頼の方が多いですね
細野:だいたいどれぐらいの採用人数の会社が多いんですか?
田中:50~70人ぐらいですね 3桁という会社はほとんどないですね
細野:10人未満とかはないですか?
田中:10人未満でもありますね 採用担当者が1名で他の業務も兼任しているので 手が回らないということでお手伝いさせてもらって 採用担当者には学生と会うことだけに注力してもらうという感じです
柘植:皆さんの会社は採用担当者は何名ぐらいいますか?
A社:採用担当は4名ですね
柘植:4名で300名採用というのはどうですか?
田中:厳しいですね 現場の方の協力がないと厳しいと思います
柘植:ベストは何名ですか? 仮に50名を採用するとしたら採用担当者は何名いりますか?
田中:アウトソーシングを使わないとして 5名は欲しいですね
柘植:大手だと採用担当者が30,40名はいますよね
田中:いますね
柘植:だから戦っているレベルが違いますよね
田中:大手だと採用ブログなんかも全員が毎日更新したりするんですよね 中小企業さんだとそれができないんで書き溜めしちゃんですよね そうなるとやっぱり厳しくなるんですよね
吉川:あと、学生が気になることの1つとして 「私はなぜ内定をもらえたのでしょうか?」というのがありますね いまは学生も売り手だって分かっているんで誰でもいいから採って いるんじゃないかという風に思っているんですよね だから君じゃないとダメなんだという口説き文句がないと内定辞退につながるんですよね
柘植:それって難しいですよね。 君だけにを見つけようと思うと追い詰めていかないと見えないんで。 表面的な会話では難しいですよね
吉川:でもそれが結構重要なポイントだなって思いましたね
柘植:吉田さんの会社でも君だけにをやっていますよね
吉田:やっていますね
田中:親御さんへの手紙なんかそうですよね
吉田:親御さんへの手紙もそうですけど、本人自身への口説きも相当考えますね 良いところも悪いところも併せて伝えるようにしていますね 性格分析テストの結果も踏まえてですね
吉川:そうなんですよ。悪いところを知りたがるんですよね
柘植:性格分析テストを用いてフィードバックをするというのは良いですね 面接だけだと結構難しいかもしれないですけど、 そこを合わせると知らない自分も見てくれているというので 説得力が出てきますよね
吉田:面接だけだと君はうちの会社にあってると思うよぐらいしか言えないんですよね そこに性格分析テストを入れるとなぜかという説得力が出るんですよね
◆いまの新卒は理解させるのに時間がかかる(じんざい社 柘植) 柘植:これから研修のことで質問いただいていることにお答えしていただきます 今年は各社採用が緩くなってきているので、凄く危機感がなく現場に配属されて ビックリされるということが私のお客さんでもありました ちなみに田中さんは客観的に見てお客さんの教育に対する力の入れ具合はどうですか?
田中:教育に力を入れている企業は増えてきている印象はありますね 良い人が採用できていないので採った人をいかに育てるかというフェーズに 入っているのかなと思います それも入社後に教育するのでは遅いので、入社前のタイミングで研修を入れていき 4月の入社の段階ではある程度良い人にしているのではないかと思います。
柘植:ちなみにどんな研修を各社入れているんですか?
田中:社会人の気持ちにシフトさせるマインドチェンジのような研修が多いような気がします
柘植:社会人の気持ちにシフトチェンジさせるってどんな研修がありますか? 例えばマナー研修などで
田中:今までのマナー研修だとやり方とかを教えていたと思うんですが、 いまは何でこんなマナーをするのか?という理由から説明するようになっていますね
柘植:なるほど。昔は理由など言わなくてもこうだと言えばその通りしていたのが、 いまは納得させないと動かなくなっているということですね 私の感覚ですが、昔は10伝えるのに3日間掛かっていたのが、いまは5日間掛かるという 感覚です。
田中:時間がかかるようになっていますね
柘植:同じメニューなんですけど日数だけが増えるという珍現象になっていますね 同じテーマを伝えるのにも、何でなのかという納得性を説明するのに 相当な事例を伝えないと伝わらないという感じになっています
田中:だから入社してからじゃなく内定者のうちから研修をするようになっているのかなと
思います
柘植:ちなみに吉田さんの会社ではどんなことをしていますか?
吉田:当社では説明会から内定を出すまでに面接を4回して、 内定式の後に現場でアルバイトをさせるのですが、
その前にアルバイト研修を入れています。 その後、アルバイトの振り返りをさせて上手くいったこと、上手くいかなかったことを 棚卸させます。そこで改善・分析を自分でできる状態に少しでも近づけて
課題を持たせます。 本配属なった後にこういうことで失敗する可能性があるよねという課題を持たせて 冬休みに入らせます。その後、2月・3月ぐらいにもう一度呼んで話をして、
入社式を迎えさせ新入社員研修に入ります。
柘植:新入社員研修は何日間ですか?
吉田:マインドセットの研修が3日間です。ただ、このマインドセットの研修も動機付けを しっかりしないと効果が出にくくなっていますね
柘植:いまの子はなぜなのかを説明しないと伝わらないんですが、 講師の世界ではなぜなのかを説明することが求められていないんで それができる講師が少ないんですね ちなみに3日の後はどうされているんですか?
吉田:2日間ほど内製で品番などの知識やロールプレイングを徹底的に行いますね 店頭に立った時の「いらっしゃいませ」や電話を取れるようにしたりですね その後現場の店長を呼んで3日間ほどロールプレイングと業務内容、会社の戦略などを 徹底的に教えていって配属させます
田中:受け入れ先の研修は行っているんですか?
吉田:受け入れ先の研修もやりたいとは思っているんですが、 やり切れていないという状況ですね
柘植:これだけ1つ1つのことを伝えるのに時間がかかるようになってくると 受け入れ側の体制ってかなり大切ですよね
吉田:だから今回の採用では受け入れ先の店長を2次面接に入れて 内定のフィードバックまでさせて関係性を作らせているんですよ
柘植:なるほど。
吉田:1年かけて関係性を構築していくというイメージです
柘植:戦力にしようと圧をかけるとパワハラと言われるし、 仲良くしようと飲みに誘っても何で飲みに行かないといけないのかと 言われるんですよね
吉川さんもそういう依頼が多くないですか?
吉川:多いですね。研修で新卒を上げると同時に上司側の認識を下げてくれという 両方の依頼が多いですね
柘植:田中さんのお客さんではどういう研修が多いですか?
田中:接客の研修がすごく多いですね
柘植:だいたい期間はどれぐらいですか?
田中:2週間ぐらいが多いですね。その後はフォローアップ研修を 3ヶ月、6ヶ月と3ヶ月単位で行うという感じですね
柘植:まあ、職種によって変わると思いますけど、 現場に行かないと学べない接客・サービス系は2週間ぐらいですよね 営業系は長いですよね。商品を覚えるのに時間がかかるので 昔は現場で商品を覚えればOKという感じだったんですが、 いまはお客さんからのクレームが多くなっちゃうんですよね お客さんも忙しいので、生半可に現場にいれると新卒のメンタルが痛むのと お客さんからのクレームにつながるんで最終的に自社の不利益につながりますね
田中:採用の観点から見ると半年研修期間があるというのはウリですね ベンチャーや中小だとOJTという名のもと、すぐに現場に入れちゃうんで
吉川:でも、いたずらに長くしちゃうとそこで緩くなっちゃうんで、 配属した途端に辞めてしまうということも起こっちゃいます だから研修を分割することをお勧めしています。 例えば5日間研修があるなら、連続ではなくバラして間に現場を挟むとかですね
柘植:他に研修のところでお伺いしたいのですが、 コンテンツに集中してしまうという質問が来ているのですが、 これはインプットが多くなるということですか?
A社:入社の時に最低限これだけは教えてほしいという現場からの依頼と これは最低教えたいなという内容が盛りだくさんになってしまって 研修期間が4日間なんですけど、全然足りず1つのコンテンツの時間が短くなってしまって どうしてもインプットになってしまうんですけど、アウトプットもさせないと 実にならないんで内容が目まぐるしくなって疲弊していっちゃうんです。 優先順位やスキルを教えずに現場に出すのも怖いので、OJTや現場との関係性を どう構築するのがいいのかなと
吉川:私はマナー研修なども一部するんですが、その時に言うのは 「この研修ではマナーは教えないからな」と言うんです。 マナーは身に付けるのではなく、湧き出るものだから、マナーを身に付けたいと 思わせるようにしています。 現場でマナーを実践している先輩はほとんどいないということも研修で教えます。 現実を教えるということをしておかないとスキルは後からでもいいと思っています。 まずはマインドを入れて、現実を教えて、スキルは後というのでも いいかなと思っています
柘植:いまの子は3日、4日でというのは結構短いと思います。
1つ1つをなぜなのか?から教えていかないと納得させることができないんですよね
だから新入社員研修では上司が教えたくなるような行動・言動が大切だという
ことを教えるようにしています。
ちなみに吉田さんの会社では上司向けには何かされているんですか? 上司向けにしたいけどできないんで採用でカバーしているという感じですか?
吉田:本当は上司向けにやりたいんですけどね ただ、それができないんで担保するために面接に参加してもらっています
柘植:実際、上司向けの研修を理解してもらえないときに言っているのは、 一次面接で横に座ってもらうだけでいいから参加してもらうことをお勧めしています いまの新卒の現状を理解してもらうためには実際に見てもらって その中でベストを選んでいるということを分かってもらうようにしています
田中さんは研修の依頼を受けるときとかどうですか?
田中:実際にお客さんから質問されて困るのが、宿泊研修と通いの研修 どちらが良いかを聞かれたときのメリット・デメリットなどあるんですか?
吉川:宿泊研修だとできることが増えるというメリットはありますね 研修後のリラックスした状態で色々話をするとかですね 通いの研修だとオンの状態でしか会わないので、オフも一緒にいることで 気持ちの部分でつながることができるということがありますね
田中:宿泊研修だと何日ぐらいが良いんですか?
柘植:たしかに今は宿泊研修が増えているんですね。 なぜかというといまの子は9時-17時で研修が終わるとまっすぐ家に帰るんですね 同期同士で飲まないんで、横のつながりができないんですよ だから同期が辞めてても知らないことがあるんですね 環境を作らないと距離感を縮められないんで、距離感が遠い友達が多いんですね そういう意味では横のつながりを作るという目的であれば2泊ぐらいで十分ですね キッカケだけ作れば良いんです
◆社内のプレゼンテーションまで考えて提案してくれる会社を選びます
(ベイクルーズ 吉田) B社:テンプレートを覚えさせる研修はできたんですが、 考えさせる研修ができていなくて、そういう部分をどうしていけばいいかというのが 悩みのタネですね
吉川:それはよく分かりますね。やってはいけない指導の仕方というのがあって 言われたことしかできない子を作るのは簡単なんですよ やり方を教えると言われたことしかやらなくなります。 だから私は目的を伝えて、方法は考えさせるようにしています それを勝手にやらせないようにすれば考えれるようになります これが指示の出し方と報連相につながるんですね
柘植:あとはこのやり方をすると日数がいるんですよ 研修を年間を通じてできる会社だと長く見ると優秀な人が育ちます これを1年目、2年目で定着させると上手くいきます。 3年目、4年目になると凝り固まっているんで だから僕は1年目はインプットをしっかりすることも大切だと思っています。 やり方を知らないと考えることもできないからです。 考える部分はフォローになります。だから日数がかかるんです。 まずは新卒は言われたことができるようにしてあげないとダメですね そのベースがあって考える部分を教える。ただどうしても日数はかかります これをする方法は2つあって、1つは外部に任せてしまう。 もう1つは人事で内製する。ただし、内製すると社内の抵抗勢力などに 邪魔されるということがあります。 だから今は外部と内製を上手く組み合わせるようになってきていますね 同じことを外部からも言われるとより深く伝わるようになります。 一番ダメなのは外部と内製で言っていることが違うというパターンです。 だから気に入った講師がいたら使い続けたほうがいいですね 上手くいかないのはこの研修はAさん、この研修はBさんと 講師を使い分けると上手くいかないことが多いですね お時間も迫ってきたのでせっかくですから吉田さんにお聞きしたいのですが、 発注側としてどういったところを見ているんですか?
吉田:そうですね、1つは必ずこちら側がどの部分を使いたいのかを理解することが大切ですね
柘植:そうですよね。田中さんも課題が分かっていないお客さんが一番難しいですよね
田中:そうですね。
吉田:その上で社内のプレゼンテーションのことまで考えて提案してくれるかどうか? 結局、人事は提案を受けたことを通さないといけないので、 コストのことや社内の序列など、現状を踏まえてまずはここまでなど 理解してくれている人を選ぶようにしていますね あとは社内で伝えていることをしっかりと連携して伝えられるかというところですね
柘植:年度末の遅い時間までご参加いただきまして ありがとうございました。 これで本日は終了させていただきます。
昨年末から前半・後半に渡ってご覧いただきましてありがとうございました。
無料勉強会は今回を持ってひとまず終了となりますが、 これからも違った形で情報を発信していき、少しでも皆様の お力になれればと思っております。
それでは、今年も一年間、何卒よろしくお願い致します。